ヤング・ジェイムズ・ボンド・ストーリー
はじめに
パチと言い切るにはちといえない作品。ドラマはフレミングが作品に挿入していたエピソードを膨らました三つの短編集みたいなもので、作者のアイック・トーマーはロワイヤルレゾー(「カジノ・ロワイヤル」か?)に向かう途中、マチスとの出会いから、OO要員になるまでの回想を独白するというもの。
マチスとの任務
ルーマニア人の組織が、モンテ・カルロのカジノを使って資金を調達している。カジノの場で彼らを打ち破ることで、それを阻止するためにフランス参謀本部二課のルネ・マチスと共同作戦をとった。このときステフィ・エスポジトからボンドはカードの特殊技術を学んだ。切り札は、マチスが透明インクで密書を書き、特殊メガネでボンドがそれを読むという、
蛍光読みという情報伝達手段だと思われる。
日本人暗殺
ロックフェラー・センターで暗号解読している日本人の暗号専門家を狙撃。パートナーの一人が(希望的推測としてアレックだと思いたい)ボンドが撃つ一秒前に、狙撃し高層ビルの窓ガラスを破壊、殺害はボンドの銃弾によるというもの。
ノルウェー人暗殺
ドイツに寝返った二重スパイの暗殺。英国情報部の二人が返り討ちにあって死亡。ボンドは寝室に忍び込み刺殺に成功。実際に手を汚して人を殺すのは、後味が悪いということ。
結構、フレミングが本編の導入や、説明で済ましているエピソードもおもしろいものが多く、
ちゃんとした「小説家」なら、かなりおもしろい短編が書けるはず。
シリーズで有名なエピソードというと以下のようなものが・・・
ハンガリー人救出作戦
オーストリア・ハンガリー国境において、ハンガリー人の亡命を成功させるべく、作戦指揮官としてボンドが派遣された。しかしロンドンから指揮官を派遣することに反発したオーストリア支局はボンドに対し非協力的な妨害工作を行ったため、ハンガリー人は国境の地雷原において爆死してしまう。
メキシコの麻薬組織壊滅
殺し屋のメキシコ人はカプンゴ。はした金でも人を殺せる奴といわれている。ロンドン内のヘロイン・ルートを探索していった結果、情報部の領域となったので、警視庁特捜部の依頼で動くこととなった。ヘロイン倉庫を爆破するも、ボンドは黒幕よりカプンゴという暗殺者を差し向けられる。ボンドは素手で殺した。
キューバ武器密輸ルート調査
キューバのカストロ派に国境のいたるところから武器が流れ込んでいた。カストロ支持派の者達がジャマイカに武器輸出基地を作ろうとしたためボンドはそれを阻止に派遣された。ボンド自身はカストロには同情的だったが、真夜中に武器を積んだ二隻のヨットに焼夷弾を投げ込んで怪我人を出すことなく手際よく片付けた。
プレンダーガスト事件
ボンドが記憶なくしてキッシーと暮らしていた頃の事件。
同性愛傾向のあった支局主任が絡んだ事件。彼は反逆罪で30年の刑に。政府はファラー特別委員会を設け全情報機関について調査を行い、情報部は一ヶ月間機能を停止した。Mはこの事件のあと辞職をけついしていた。
外交官に関する作戦
プレンダー・ガスト事件を引きずるかたちで発生し、ある外交官を深層催眠にかけ、情報を探り出せないかというもの。その外交官はビルの10階から落ちて死亡。
最終的にはジョン・プロフィーモ国防相ががKGBの息のかかったコール・ガールに情報を漏らしていたという実際の事件にリンクしていく。
実際の事件とリンクしているエピソードに関しては、シリーズ中にもう一作あり、これはジョン・ガードナーの「覚悟はいいかねボンド君」の80年代末期のスメルシュ長官コーリャ・チェルノフ将軍の設定
オレグ・リアリン亡命事件
スメルッシュ(KGB第13課)の中佐がイギリスに亡命。これにより、イギリス政府はソ連大使館の105名のエージェントを国外追放にした。これによりアンドロポフKGB長官は、世界に散ったスメルシュ工作員に緊急帰国命令を発し、破壊活動に関して大きな後退を余儀なくされた。それにより13課はKGB第V課として再編され、実権を剥奪される。
この時期の長官コーリャ・チェルノフリアリン亡命後の大粛清に唯一生き残った高級将校であり、その手腕とも呼べる陰険な摘発は内部にも猛威を振るい、30人以上のKGB高官を死刑においこんだという。英国情報部のクリームケーキ作戦への報復において陣頭指揮をとる。そしてスメルシュにとって仇敵であるボンドをモスクワに拉致して、KGB内でのV課復興をもくろむ。
ューを殺害した人物と対決し、自由の女神の王冠
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