「野球がクリケットより難しいのは、奴らが野球用品を日本に売る魂胆があるからさ」

「OO7は二度死ぬ」

はじめに
タイトルは松尾芭蕉にならってフレミングが作ってみた句「人生は二度しかない、生まれた時と死に直面したときと」からきている。「私は人生を無駄には過ごさない自分の時間を思う存分使うんだ」というボンドの墓碑銘に捧げたMのことばと対になっていて、味わい深いものになってます。日本語というのは欧米人には興味深いものなのか、ピンク・フロイドの「あなたがここにいて欲しい」とかクィーンの「手をとりあって」、KISSの「力(ちから)」等、自分たちが日本語訳したタイトルをつけているものがままあり、この作品も、「二度だけの生命」という日本語訳のタイトルをつけていた。

・・・で、この作品について、国辱ものとか日本を誤って紹介しているとかいう輩がいるけど大きなお世話。要は自分のしらない事を外人に指摘されて怒るあんたがアホなの。例えばさ「oo7は二度死ぬ2000」なんてのがあって、タイガー田中曰く「日本はかつて大和撫子といわれた娘たちが白い肌を黒くして、ガングロってやつだ。それがこの日本では10人に1人がそうなんだ。このシャターハント博士は自分の島の上空のオゾン層に穴をあけて、ガングロに無料の日焼けサロンを提供しているわけだ(爆)」てなもんでしょ? 芸者にしても、自殺者にしても、離島の迷信、海女の生活にしても時事のデーターに基づいている、日本に旅行したときの経験の範疇を超えていない、芸者にかかわる記述は、時代小説家の遊郭を舞台にした作品と引けを取らない知識を提供しているしね。もしタイガー田中が、じゃんけんで天皇を賭けて勝負だというのなら、話は別だが、「女王陛下を賭けるから、おまえは天皇陛下を賭けろ」と言い出したのはボンドのほうだからね、逆にそれほどまでの、大げさな忠誠心にえらく感動したのはタイガーで、ボンドを親友と認めるわけだから。どちらかというと辛辣な筆は、落ちぶれたイギリスに向けられているように思うけど、いかが?

ストーリィ
トレーシーが殺されで九ヶ月。その傷心はボンドを深刻な神経症に陥らせた。そのため二つ任務をボンドはしくじり、情報部を危機に遭わせ、戦力外の決定を下されていた。しかし、ジェイムズ芽モロニー卿の意見「何か重要だが不可能な仕事。祖国に関係ある、緊急の匂いがかる仕事をぶつければいい。真の危機に陥れば生きる意志が現れ、ボンドは本来の力を発揮して立ち直るだろう」にMはもう一度だけ試してみようとする。
Mはボンドに日本行きを命令した。暗号にかけては超一流の日本の諜報部がCIAと共同で最新鋭の暗号解読器マジック44を開発していた。CIAはマッコーン長官の代になり、衰退の道をたどるイギリスは戦力外という決定に基づいて行動していた。それは英国情報部に対しても同様で、二人の亡命者(キム・フィールビー、ジョージ・ブレイクか?)出して以来機密保持能力に疑問をもち、事実上同盟から切り捨てている。そのCIAの縄張りである日本に乗り込んでマジック44を入手すべく、公安調査庁のタイガー田中と交渉することだった。しかしながら英国情報部は1950年に支局をひきあげてしまっており、バック・アップは何もない。ボンドはオーストラリア人に化けてオーストラリア外交官のリチャード・ヘンダーソンの片腕として、タイガー田中と取引をすることになる。しかしボンドには取引に使える材料は何もなかった、切り札であったはずの、中国情勢を調べたブルー・ノートすら日本のオレンジ・ノートからデーターを提供されていたものだったのだ。切り札を失ったボンドにタイガーは逆に取引を持ちかける。それはある日本に住み着いた外国人の暗殺だった。

黒い悪玉
学者たちによって彼は「死の収集家」と分析された。半年の間に500人の自殺者を収集している。名はガントラム・シャターハント博士とその妻フラウ・エミー・シャターハント。園芸家で亜熱帯専門の植物学者。日本に異国的な庭園を、研究の為に提供したいと申し出た。日本政府はこれを許可し、滞在を許した。その島に数々の毒草、樹木を植え、毒をもった動物をはなち、池に放したピラニア、海のサメ、そして間欠泉の火口をふくめ、その島は自殺者たちのメッカとなり、耐えることなく巡礼者たちを受け入れていた。自殺者の増加に世論が騒ぎ出す前に、この死の楽園をひそかに亡き者にしたかった。発覚すれば、自殺者を生んでいた毒植物から抽出された薬品を研究用に無料提供するというとりきめもあったからだ。その博士の写真を見た瞬間、ボンドの顔色が変わった。その人物こそねブロフェルドだったからだ。

ピンクのヒロイン
キャシー鈴木
まだ古い因習が世界活を支配している福岡の黒島の住民、海女を生活のなりあいとしている。美人の海女がほしいという映画観との目にとまって、ハリウッドへ。そこで日本のガルボといわれるようになるも、元の生活に戻りたく島に戻る。家族は両親と、ディビットという名のおりこうな鵜。この鵜の名前はディビット・ニーブンから。
ボンドが島の六地蔵言い伝えに出てくる英雄だと思っている。彼には六地蔵の加護がると。
そのためか、ブロフェルドを絞め殺したボンドは間欠泉の脈動を制御している噴出バルブを操作して島を爆破する。脱出の際に観測用の風船にのって海上にでたものの、島の爆発によって海に落下して、それが原因で記憶喪失になってしまう。
彼女にとっての六地蔵の加護は、ボンドがずっと自分の元にいてくれることだった。記憶喪失のボンドを、轟太郎として、「二つめの人生」として尽くす。記憶が戻るのを恐れ、外界の情報を立っていたのだか、ウラジオストック、あるロシアの地名に、ボンドの記憶の断片がよみがえる。キャシーはあきらめるしかなかった。ただひとつ彼の為にやって上げられることは、彼を送り出してあげることだけだったから・・・・。その時、シャシーのおなかの中に新しいひとつの命が宿っていた・・・・

今日の日本人
まず、材料はボンドさんです。下ごしらえは染料風呂につけては揉み込む、この手順を何度もおこない、日本人の肌の色になるよう染み込ませます。から揚げを作る要領ですね。眉は両端を軽く剃ります。刈り上げた髪は脂で撫で付け。櫛で真中から分けます。で、しゃべる必要がないように聾唖の証明書を持たせます。さいごに轟太郎の名前を添えて。はいっ、これで日本人炭鉱夫ひとりの出来上がりです。

ボンドさんとタイガーの食いしん坊万歳
第1回伊勢エビの活造り
第二回松坂牛のステーキ
第3回ふぐちり
第四回芸者ガール


kl