ウォーヘッド2000

ジェイムズ・ボンドの映画化の企画があがった。
ケビン・マクロー二とイアン・フレミングの共同作業で創られたのが「サンダーボール」となるわけなんですが、それが、ポシャってしまうのですね。
どーせ、お蔵入りなのなら、「ドクター・ノオ」のプロットの時みたいに、小説に書いちまえっと書いたわけっす。
おもろないのが、マクローニ。お互いにアイディア出し合ったのに、合作のプロットなのに、そりゃ、ないやんけ!
・・・・と、裁判を起こすわけっす。
判決。
小説の権利はフレミングに、映画の権利はマクローニに凱歌ぁ。
だがしかし、時の流れは残酷なもの。
世は、「ゴールドフィンガー」公開してのボンド・ブーム。次は「女王陛下のOO7」の予告が流れたものの・・・
やはり、この機を逃すわけにもいかんのかもしれんと、マクローニは討って出る。
イオン・プロとの共同プロデュースで「サンダーボール作戦」の製作が実現となった・・・
・・・ものの、それで満足がいくマクローニではなかった。

コネリーのブームも過去。ロジャーの台頭にも翳りが見え始めたとき・・・
「サンダーポール」を原案に書上げたシナリオでもって、ボンド映画を製作しようとする、マクローニ。
その作品の名は「ウォーヘッド」
核弾頭という意味である。
そのコトバの意味がわからなかったのかどうか解らへんけど、にっぽんの映画雑誌は・・・
「ウォーヘッド」を「ウォーロック」読み間違えて紹介したんねん。
妖術師という意味の「ウォーロック」。その頃ガードナーが書いているボンド小説の悪役アントンのあだ名が「ウォーロック」
そこで、裁判を起こしたのが、マイケル・ウィルソン率いる弁護士軍団。
今こそカメオの帝王マイケル君だけども、数年前は、ボンドの版権をめぐるサルツマンとブロッコリの両プロデューサーにケリつけた敏腕弁護士。
この「ウォーヘッド」って「サンダーボール」と全然ちゃうやん。
バミューダ―海域にスペクタ―の基地あって、そっから潜水艦出撃なんて、「サンダーボール」やないやん。
自由の女神での一騎打ちなんて、全然ちゅうやん。
判決。
マクローニはんは「サンダーボール」のプロットを逸脱するような作品は作ってはいけません!
「逸脱のうて、脚色というてほしいねんけどなあ・・・」
結局リメイクの範疇を超えたらあかんねんとなった。

そこに、強力な助っ人がマクローニ―に。
ショーン・コネリ―である。
「もうボンドを演じるのはいややねんけど、プロデュースならしたいねんけどなあ」
「サンダーボール」リメイクのために、コネリーはコッポラを連れてやってきた。
とにかく「サンダーボール作戦」に出てきたアイディアをパワー・アップさせて、ブロッコリにぐうの音も言わせなければええねんな!
・・・ちなみに、未確認非行物体という意味のディスコ・ボランテ号をパワー・アップさせたフライング・ソーサー号・・・空飛ぶ円盤ですね・・・の豪華客船はコッポラの船っす。
でも、所詮リメイクなんです。主演は数年後に「スピーク・ラーク」、十数年後にはボンドを演じることになるブロスナンがええなあと思ってたんやけど・・・
所詮リメイクじゃインパクトないねん・・・
そこで、いまや伝説となった、コネリー夫人の一言。
「二度といややなんて、ゆわんといてや」
「ネバーセイ・ネバーアゲイン」ですね。
またもや、それを公開するなんて嫌やという、イオン・プロが裁判。
判決。
「二度と嫌やなんて、言わせへんで」
コレが成功したら、第二弾ではメガホンを持つデ。監督やでの野望のコネリーだったが・・・
・・・コケたねん。

いまや、「スピーク・ラーク」がボンドこのご時世。
コロンビア映画がソニーに買収されるというピック・サプライズが起きる。
そうコロンビア映画は「カジノ・ロワイヤル」の版権を持つあの会社。
ソニーの社長・・・にっぽん男児・・・は、ボンドに色気あり。
飛びつきましたよ、マクローニ!
「ボクのサンダーボールと君のカジノ・ロワイヤルでボンド映画を作ろう!」
この二作品をシャイクすれば、そこから出せるプロットの組合わせはいっぱい!
それはイオンの作品でも証明済っ。
社長、声高らかに宣言。
「ソニー・ピクチャーズは、イオンとは別の、ジェイムズ・ボンド・シリーズの映画を作りますねん!」
その第一弾は「ウォーヘッド2000」やで!
主演・・・ダルトン、起用しようかなあ・・・ダイアナはんのお墨付きやったし・・・は世間の噂。
コネリー出したいねんけどなあ・・・は、社長曰く
そんな、へらへら妄想を尻目に・・・
はい、恒例の裁判っす。
「ボンドはイオンの物や、ソニーはボンドを創ったらあかん!」
判決。
ソニー、勝つ。
「だって、わし。版権もっとるもん」
だが、しかし!
毎回毎回、作るたびに裁判やデぇ・・・社長はん・・・、ソニー、社運を賭けたネズミの映画コケたやろ。
社長、イオンとの示談に赴く。
「このカジノ・ロワイヤルの版権を、たこう買うてくれたら、わしら、もうボンドの映画は創らへんと約束してあげてもええねんけどなあ」
「買うた!」
示談、成立。
マクローニ、大激怒!!
「約束はちゃうやんけ! ソニーはんよぉ! 出るとこ出て白黒つけたろないか!」
・・・泥沼はまだまだ続く。
世紀末も越え、今、新世紀。




kl