「教えてジェイムズ。あいかわらず枕の下に銃を置いて寝てるの?」

トゥモロー・ネバー・ダイ

はじめに
良くも悪くも「私を愛したスパイ」のリメイク。時代の差が出てておもしろいっす。やっぱり東洋は未知なのか、描写がちょっと・・・、ウェイ・リンはホンコン生まれにして返還と絡めて情報部へのいきさつともっていったほうが違和感がないのでは・・・とおもったりして

ストーリィ(彼の場合)
フィリピンから香港に向かう英国海軍フリューゲル艦デヴォンシャー号が中国空軍のMIG21の攻撃により沈没した。中国側は領海侵犯であるという主張に対して、英国海軍はその報復として東シナ海に艦隊の派遣を決定する。戦争を辞さない状況となった。しかしMは何者かによってデヴォンシャ号が間違った航路をナビゲートされたと推測する。海上の船舶は、ナブスター全地球位置把握システムが知らせる位置と時間を頼りに航海をする。1989年に22基打ち上げられた航海衛星で、このネットワークシステムはアメリカ国防省の陸上基地から発信される原子時計によって管理されている。原子時計は暗号化されており、その暗号をプログラムする装置はACSESという。このACSESを使えば普通の通信衛星をナブスター衛星に仕立てることが出来、偽りの情報で船をコースから逸脱させることができる。ACSESは現在23個ありアメリカ空軍の航空機事故で1個消滅していた。しかしその1個が何者かに回収され、テロリストの武器バザーで売り出されていたのだ。デヴォンシャー沈没時、アジア上空の通信衛星が不振な電波を発し、さらに、ハンブルグのCMGNからその衛生にむけて謎の信号が送られていた。Mは進退をかけてボンドにカーヴァーを調査するよう命じる。非作用であれはパリス・カーヴァー夫人を利用してでもと。パリスの結婚前の名はパリス・マッケナ。かつてボンドと恋人だった女性・・・ボンドはハンブルグでACSESの奪取に成功。デヴォンシャー号沈没地点へむかう。

ストーリィ(彼女の場合)
ウェイ・リン大佐は自分が男にとって脅威を与える存在ではないかと思っている。男女関係において常に主導権を持っていない都我慢できない性格で、男性に主導権を与えたときに発してしまう癇癪で一週間前に婚約を破棄したばかりだった。そのアーモンドような瞳の笑顔は男どもをとろけさせ、小柄な体はきたえぬかれてはいるが、恋人いわく完璧な胸だという。任務で使用する車は真紅のフェラーリF550。北京にいる人民開放情報部のコー将軍のもとに出頭した彼女の任務は、チャン将軍が盗みだした低放出レーダー装置の追跡だった。低放出レーダー装置はロシアで入手したもので、それをステルス機に搭載するとこちらは感知されずに敵を感知することが可能になる。その管理を任されていたチャン将軍が装置とともに姿を消したのだ。チャン将軍は装置だけを最初に送り出し、二日後にサイゴンに逃亡した。茶の積荷として発送された装置行方を、まず手荒なまねで、ワルの小者から顧客名簿のありかを聞き出し、次に色仕掛けでワルのボスから発送先と、チャン将軍の正体を突き止める。チャン将軍は、明王朝の正式な後継者という自称するハン皇太子を信奉する一派の1人だったのだ。茶の積荷の発送先はCMGNビル。ウェイ・リンはハンブルグで低放出レーダーの使用目的を知り、英国艦沈没地点へ向かう。

黒い悪玉
エリオット・カーヴァー若き日は美男のニュース・キャスターとして名をあげる。イギリス貴族であり新聞王のローヴァーマン卿の私生児で香港の夫婦に売られる。その父親に対する復讐を成し遂げ、財産である新聞帝国を乗っ取る。その権力志向は次々と新しい事業を展開した。ナブスター衛星へ投資が成功したのと投資湾岸戦争での生中継によりCMGN(カーヴァー・メディア・グループ・ネットワーク)は世界で二番目に大きい報道機関になった。「明日のニュースを今日」がこのグループのスローガンになっている。1997.7.1香港返却をきっかけに西半分の本部をロンドンからドイツ・ハンブルグに移転し東半球の本部をサイゴンに移した。
異常な権力欲がもたらす緊張の反動か顎関節症候群による顎の痛みに悩んでいる。彼がもっとも重んじるものは自分に対する忠誠心であって。それに反するものはたとえ妻であっても死をもって償わせる。彼は自分たちで事件を起こし、それを独占報道することによって巨額の利益と権力の頂点に立とうとする。
その最大イベントが「英中戦争勃発」と「中国に新政権樹立」であった。そのために彼はチャン将軍と手を組んだ。低放出レーダーを搭載したステルス艦で英軍、中国軍双方を攻撃し戦争を起こし、戦争の混乱に乗じてクーデター政権樹立、ハン皇太子を中国皇帝に即位させることであった。そしてそれをCMGNか独占中継する・・・

ピンクのヒロイン
ボンドとの恋もカーヴァーとの恋も出会いはカクテル・パーティだった。彼女は新進のファッション・モデルだったボンドが突然、彼女の元を去って四年後、カーヴァーのボンドと同質の魅力、無慈悲で冷ややかで謎があって・・・に屈し結婚した。しかし次第に権力の怪物になっていく夫に恐れと嫌悪を心の奥底に抱くようになる。ボンドとの再開に対するカーヴァーの暴力行為が引き金となり、夫のもとを去る。しかし通信衛星を手中に収めているカーヴァーはパリスと彼女の姉の電話を傍受し居場所つきとめ殺害する。

本日のスクープ
「イギリス軍水兵殺害機関銃でめった撃ちにされた17体の遺体が発見される」
「ドイツ、ハンブルグ警察はパリス・カーヴァーの半裸死体を発見しました・・・」
「中国、イギリス艦隊を撃沈 イギリス北京を核攻撃」
「水爆、ロンドンを直撃」
「新皇帝が即位!」
新聞王ウィリアム・ランドルフ・ハーストはアメリカに対するメディアの影響力を駆使して戦争をひとつ起こしただけだったった。けどカーヴァーは2年ごとに戦争をおこして独占中継したいそうなわけで・・・
「アマゾンで戦争ジャングルでの対決」
「南アフリカで革命」
「ロシアがウクライナに進行 アメリカ南北戦争パート2」
最後にカーヴァーの陰謀が発覚した直後のCMGNニュースは・・・
「イギリス政府は当テレビ局のオーナー、エリオット・カーヴァー氏を89の罪状で告発する予定で・・・」
怖い業界だ・・・


kl