「見なよ、このジイサン、すげぇ事やってるぜ」
あるスパイの死に方
津山紘一の「プレイボーイ・スパイ城京介の華麗なる大冒険」の中の一編。
この城ってのはJAXの情報部員。コードネームはK7
今回の任務はボンドの暗殺だった。
老いたスパイ、秘密を知りすぎで社会に出せないスパイたちを閉じ込めている村がある。
・・・って、まるでジョン・ドレイクかプリズナーbU。
老いたボンドはそこにいる。
しかし、ボンドが脱走したのだ。諜報世界の機密を守るために暗殺せよ。というものだった。
しかし、この任務にはウラがあり、城暗殺のヒット・チームも派遣されていた。
JAXの思惑はボンドと城が相打ちになって死んでくれればいい。だめならそれに乗じて暗殺を行うのみ。そう城もまた組織にとって知りすぎた者だったのだ。
ボンド自身は老人性痴呆で、すでに自分がジェイムズ・ボンドだとはしらない。
村を脱走したのも、囚われたから脱出する。かつての人生で染み付いた本能がそうさせたに過ぎなかった。
町をさまようボンドは射的遊びでは、暗殺者の腕が蘇り、「すげぇ」と若者たちに持ち上げられゲーム・センターのレース・ゲームでハンドルを握ったとき、 ふと、ロワイヤル・レゾーでトレーシート抜きつ抜かれつをした、初めての出会いを思い出す。
しかし、若者たちと別れ、ひとり残ったボンドは、ただの老人だった。
そんな彼を見つける城。
引き金など絞る必要はない。
哀愁漂う佳作。城のプロフィールには触れんときましょう。
カウンタックにスバルのエンジン載せて、ゴールデンバットを半分に切ってキセルで吸うなんてね・・・
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