バイ・リスペクト・フォア・ザ・クラウン
はじめに
「消されたライセンス」から「ゴールデンアイ」までの空白の六年間、丁度その間に一作分のブランクが空いたことになる。六年の空白理由には諸説あるが、一番妥当なものとして、配給会社の倒産によって四散したビデオ販売等の利権を回収するために新作を作る余裕などなかった。その間にダルトンとの契約も切れたと。
・・・で、さらに「ゴールデンアイ」製作開始時に、ブロッコリーはダルトン起用を考えていたが、MGMはダルトン以外の主演でないと製作はしないと、拒否した。
スパイ映画じゃない、シリーズのラインとは外れた復讐劇だったこと、暴力描写で年齢制限を受けたことで、興業的に大失敗だったイメージを懸念してのことだった。
???
このストーリィは、本来の予定通りBOND17が作られていた、こうなるはずだったというもので、ファンの間でプロットが出回ったもので90年執筆、91年公開予定だったそうだ。
ただその真偽となると、ちょっと・・・と、なる。ココで使われなかった化学兵器プロットが後の「ゴールデンアイ」にとか、中国絡みが「トゥモロー・ネバーダイ」へとか含みがあるものの・・・。
プロットが「ゼロ・マイナス・テン」そっくりだってことと・・・・舞台変えただけで・・・
・・・というか、そのまんまじゃん!
ニッポンジンのわたいから言わせてもらうと。
都会派の女泥棒って、キャッツアイやないすか?
その女泥棒が東京で乗り回す車がランボルギーニーって、在りし日のスーパーカー・ブームっすか?
ロボットの暴走は、不正プログラム仕掛けられたからで、そのコンピューターチップは日本製だ! っていうのは「パタリロ!/スターダスト計画」っすよね。
暴走する作業ロボットって、「パトレイバー theMOVE」だよね。HOSシステムだよねっ。
断言はしませんが・・・・
このBOND17のアウトラインには別バージョンがあって、バイ・リスペクト・フォア・ザ・クラウンのタイトル付のがそれで、ランボルギーニ、ヘリで中国・南京の惨場に連れて行かれるボンド、ロボット軍団と・・・同じでして・・・唯一の特徴としては、東京に行く前に、フランス・イギリス間を結ぶ海底トンネルの爆破というエピソードが挿入されている。
でもこれって、「ルパン三世・ハリマオの謎を追え」だし、ガードナーの「デス・イズ・フォエバー」の舞台にもなってるし・・・断言はしませんよ。はい。
ストーリィ
スコットランドにおいて化学兵器工場において、爆弾撤去用ロボットの稼動試験が行われていた。しかしロボットの中の一台が突然暴走し、工場を巻き込んで爆発した。
国防相ヤプランドが時代遅れとなった00課の廃止を望んでいた矢先であった。さらにスコットランドの化学工場破壊に関しては、脅迫状が1週間前に届けられており、さらに72時間後に重大な事件が発生するともう一通の脅迫状が香港支局に届けられていた。制限時間は72時間。手がかりは過去6ヶ月間に、政府のハイテク関連施設への侵入事件が相次いで発生しており、スコットランドの工場にも潜入していた。そしてカメラはその人物を捕らえていた。
ピンクのヒロイン
その人物は、コニー・ウェブ。30代前半。アメリカ人女性。大泥棒の一人娘で、CIAに採用され、後訓練を受け、大使館など警備が厳重な施設に侵入し、隠しマイクを仕掛けたり情報を集める任務を行っていた。2年前CIAより独立。フリーランスとして香港から東京に向かったことがわかっている。
彼女は東京で、日本企業コホニ産業潜入すると中国・南京へ輸出する作業ロボットのコンピュータ・チップを別のものにすり替え、セットした。彼女はコホニ産業を買収しようと画策する、香港の中国系英国人ビジネスマン、チン・リー・ヘンリーに利用されていた。
白いヒロイン
コホニ産業買収がうまくいかないチン・リー・ヘンリーは、コニーにチップを仕掛けさせた、ロボットを暴走させて、ロボットが配置されている南京の原子力発電所を爆破させた。それには、ひとつの意味があり、その爆発は中国に対する脅迫に使われていたのだ。
香港支局のミー・ウェイは中国の二重スパイでクェン・ロウ将軍の将軍のもとで働いている。中国政府は、ヘンリーによって中国が香港を自由な独立州として宣言するか、国内の原子力発電所で大事故が発生するかのどちらかを受け入れるよう脅迫されていた。ボンドの香港入りが、それに何か関係があると調査していたのだ。
黒い悪党
チン・リー・ヘンリーの父親は蒋介石軍の将軍であった。蒋介石軍が敗退したとき、彼は蒋介石の宝を持ってビルマに逃げ込み、新たな軍隊を組織した。司令官になった彼は、阿片の売買で金儲けした。クェン将軍は、過去にヘンリーの父親の暗殺と阿片組織を壊滅させた宿敵だった。しかしヘンリーと母親は香港へ逃げ、電気分野で強大な企業を築き上げた。ヘンリーは父親の仇である、中国に対して復讐せんとしていた。今やヘンリーは英国政府とも関係が深い、イギリス最大の軍用機器供給業社として英国軍のほとんどの兵器が、彼の命令によって暴走するチップが埋め込まれていて、ポラリス原潜の核弾頭が、ヘンリーの操作によって上海にむけて発射されようとしていた。
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