「健康は力から生まれる」

ミソサザイ作戦 準備完了

ストーリィ
英米の陸海空三軍による一大演習「ランドシー89」が行われる。そしてイギリス海軍全通型空母インヴィンシブルはこの演習のさなかに、オブザーバーとしてソヴィエト軍関係の要人を迎えることになった。
しかし、このランドシー89に関する極秘情報が事前に漏洩していることが発覚した。世界中に仕掛けられている電子盗聴器がイギリス情報部にその事を知らせてくれたのだ。
かくして、インヴィンシブルの要人警護の密名を帯びてボンドは空母に乗り込むこととなった。

ルース作戦
世界各地に仕掛けられた電子盗聴装置は24時間体制で稼動している。そして誰かがテロリズムに関する言葉を発した場合(例えばプラスティック爆弾という単語など)自動的にモニターが始まり、人工衛星を通じで本部に送信される。その盗聴装置が、BASTというテロ組織の、「ルース作戦」というインヴィンシブルを襲撃するという情報をキャッチした。
BASTとは無政府テロ組織兄弟連盟(ブラザーフッド・オブ・アナーキ・アンド・シークレット・テラー)の頭文字を綴ったもので、ボンド曰く「貧乏人版スペクター」
そしてエジプトの悪魔の名前でもあるBASTはその組織形態をも物語っている。
蝮の体の上に、猫の頭、人の頭、蛇の頭をもつその悪魔の部位のごとく4人のメンバーがいる。どのメンバーも中東の准軍事的政治組織に所属していた過去を持つ。

バッサム・バラジ・・・「蝮」本名ロバート・べサヴィキー。組織の頭脳であり資金源。元PLO幹部でアラファトの友人。
アブ・マハリック・・・「人」
アリ・アル・アドワン・・・「蛇」
サーフィ・ブータイ・・・「猫」

そして、空母に乗り込んだボンドの経歴に過剰に反応し、彼を暗殺しようと躍起になる。それがかえって、ボンドを囮とした英国情報部の罠にかかることとなる。

眠れる森の美女作戦
海軍女性部隊(ウィメンズ・ロイヤル・ネーヴァル・サービス)はその頭文字WRNSをもじってWREN・・・ミソサザイと呼ばれている。ランドシー89にロシアが女性武官を一名連れてくるということで、英国海軍15名のミソソザイを乗艦させた。釣り合いをはるかに超えた数であるが、この理由は建前で、本当は、演習中の四日間にインヴィンシブルで行われる、英国首相、米国大統領、ソ連書記長の極秘会談における首相たちの身の回りのお世話をするというものだった。
その責任者である、一統士官クローヴァ・ペニントンはイングランド西部の名家の出でアイリッシュ・ペニーという愛称で呼ばれている。しかし彼女の裏の顔はBASTの幹部「猫」であり、ハングライダーで強襲をかけて空母を制圧する「ローズ作戦」にかわる「眠れる森の美女作戦」を指揮した。それは、自分の域のかかったミソソザイたちを乗船任務につかせ、食事、飲み物に睡眠薬を投与して、乗船中の人間を全員眠らせて艦を占拠することだった。

執事たちの会合
ランドシー89の真の目的は四日間の大演習の最中、極秘裏に空母インヴィンシブルに乗艦したサッチャー首相、ブッシュ大統領、ゴルバチョフ書記長による首脳会議であった。その会議の暗号名を「執事たちの会合」といい、BASTの目的も、この三人を人質にし、身代金六千億ドル。しかし政府は要求を無視した。各国首脳たちは自分達を国家の執事というように「代役はいくらでもいる」ということであり、身代金の要求には屈したことは過去に一度もないということだ。ただし地の果てまで追ってその復讐は果たすが・・・
スペクターの貧乏人版と言われるがごとくBASTには世界に対する認識が甘かった。
四人の幹部の末路は・・・

アブ・マハリック。インヴィンシブルに潜入するも正体がばれ、捕まる。
アリ・アル・アドワン。電子盗聴器の追跡で居場所が割れ、逮捕。
サーフィ・ブータイ。英米の特殊部隊による空母襲撃の人質奪還作戦において、死亡。
バッサム・バラジ。電子盗聴器の追跡で居場所が割れ、抗戦するもベアトリーチェによって射殺される。

ボンド首脳会談に居合わせる
ボンドと会ったときの三者の反応は・・・サッチャーは「柔和な者たち」事件でボンド顔見知りになっていて、ブッシュはCIA長官時代の部下レイターから話を聞かされており、ゴルバチョフは・・・KGBの報告書で嫌というほどボンドの「悪行」読まされてんだろうなあ。

ウィン作戦・・・ああ、素晴らしきかな日本人
空母を襲撃する「ルース作戦」ためのリハーサルとして行われた「ウィン作戦」。当初、船舶制圧のためにハングライダー部隊でという電撃作戦を予定していた。・・・しかし、そのターゲットにされた。商社の原油タンカー高埴丸のサムライたちは・・・完全武装、武器携帯! 日本人やで、民間人やで、しかも筋金入りのテロリスト軍団を返り討ち! ビバ! サムライ軍団!


kl