
「日本のイヌの怖さを知るまい、ドブネズミよ」
黒豹スペース・コンバット
大藪春彦でさえもなしえなかった(結果、そうでしょう。情報部員の伊達邦彦は印象ないじゃない)この手のジャンルで唯一成功したシリーズでしょうか。
落合信彦の国際情勢ブームに乗って、全集企画をたてた光文社の勝利かも(笑)
全100巻目標で、第一部33巻ではあるものの、主人公の黒木豹助はチャゴス島でお亡くなりになったわけで・・・次は子供か・・・あるいは死んだ彼の秘書・沙霧が生き返ったように、復活するのかと言ったところか、楽しみである。
ただ、「幻魔大戦」以降、平井和正が、“あっち”の世界にいって還ってくれなくなったように、門田泰明もあとがきなどの言動がアブなくなってくる。というか、誤解をまねくか敵を作るかの思想演説ということ。
もとも黒豹は、特捜地検特捜部の主任検事なのである。ところがある日突然、法務大臣の倉脇早善に呼び出され、ベレッタM92を渡され、超法規的な権限をもつ特命武装検事となる。ようは闇の処刑人。殺しのライセンスである。
初期シリーズは、日本を舞台にしたポリティカル・アクションでけっこう凄い。
しかし、秘書の由紀が殺され、二代目秘書・沙霧の登場により、徐々に歯車が狂い。総理が暗殺され、倉脇が内閣総理大臣に就任することによって暴走する。
活躍も国内から海外に。
題材も、忍者・根来一族との対決、消息をたった陸上自衛隊・特殊部隊200名との対決、スーパー・ヘリとの対決、相手の心を読む心霊兵器との対決、、気象兵器との対決・・・・
黒豹自身も、武装検事から対テロ制圧部隊とは名ばかりの一軍の指揮者、はては黒豹特殊作戦部隊という国家が認めた私設軍隊まで持ってしまう。
それにともない、腕が落ちたのか、敵が強いのか、黒豹は行く先々で待ち伏せられる。ほんと、どこ行っても待ち伏せられて襲われている。
で、ボンドが登場するは黒豹スペース・コンバットという作品で、黒豹は月まで行ってしまうのである。
敵はシリーズ最大の敵、「赤いクリスマス」ナチスの残党さんである。
で、ボンドはどこにでてくるのかというと、事件の調査の最中、何を思ったのか、黒豹は気まぐれでロンドンに寄り道してしまうのである。そこで偶然ボンド逢ってしまう。
「むむ、こいつデキる」
「ただならぬ気配、おぬし、やるな・・・」
エールを交わしてかえるという。ただそれだけ!
素敵すぎるぞ、黒豹!
表紙はあえて下巻の黒豹と沙霧のツー・ショット。黒豹成功の最大の理由は、沙霧によって女性ファンを獲得できたことでしょう。なんといってもね。
Index
「黒豹撃戦」
「狙撃」
「帝王コブラ」
「叛撃戦線」
「帝王コブラ2」
「黒豹伝説」
「吼える銀狼」
「黒豹ゴリラ」
「黒豹皆殺し」
「黒豹列島」
「皇帝陛下の黒豹」
「黒豹必殺」
「さらば黒豹」
「黒豹キルガン」
「黒豹スペース・コンバット」
「黒豹夢想剣」
「黒豹忍殺し」
「黒豹ダブルダウン」
「黒豹ラッシュダンシング」
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