「こいつと会うたんびに、こっちは身体をすこしづつなくしちまう」

黄金の銃を持つ男

はじめに
言せてもらえれば、中南米のKGB戦略を一手に担い、カストロ政権の影の守護神たる人物が、光物好きの成金チンピラってのがねぇ・・・もちっと、紳士然とした威厳の塊のほうが・・・あるいは、ハリー・キャラハンでも持ってきたほうが(笑)この作品は校正中にフレミングがなくなってしまったため、死後出版ということであった。

だから、本当だったら、もっと話が膨らんでいたかもしれない・・・

ストーリィ
ボンドが生還した。ただしロシアによって洗脳され、Mの暗殺を行う刺客として。暗殺は失敗した。ボンドの再起を願うMは、記憶喪失状態のボンドを再洗脳し、もっとも危険な任務をあてがった。ボンドの力は窮地の中でこそ発揮するからだ。(前作でも同じこと言ってたなあ)それは「黄金の銃を持つ男」呼ばれるフランシスコ・スカラマンガの暗殺だった。

黒い悪玉
フランシスコ・スカラマンガ
KGBがキューバを通じて業務提携しているフリーランスの殺し屋。金張りで銃身の長いコルト45口径を凶器に使う。24カラットの金を銀でくるみ弾頭に十字傷をつけた自家製ダムダム弾で狙撃するため、被害者は肉片となって散るか、再起不能になっている。左乳の下に第三の乳があり、地元では不死身の英雄として畏れられている。
バチスタ政権派を装いながらカストロ派の為に働き、革命後「執行官」の地位を得る。表向きは不動産業をやっており、焦げ付いた物件をアメリカのギャング団に売りつけようとしている。

ピンクのヒロイン
メアリー・グッドナイト
今までなかったのが不思議なくらいの、シリーズ初のオフィス・ラブ。彼女の世話焼き、快活さ、有能さは短編や、長編3本で証明済だが、
漆黒の髪、瞳のはずが・・・ここでは金髪碧眼! 金髪碧眼!! どないせいちゅうんだい!(泣)
ボンドが行方不明になったときに配置転換を願い出て現在のJ(旧C)支局に。熱帯地方の支局の制服はオレンジがかったピンクの、丈の短いワンピースと真珠の首飾り。真珠のひとつはQ課によって毒が仕込まれている。

スカラマンガがやろうとしてること
ボーキサイト産業のサボタージュ
アメリカへの麻薬密輸
ジャマイカ独立のための賭博振興製作
サトウキビ産業に係わるジャマイカ施設の破壊
ジャマイカ高官への贈賄
これだけならべりゃ、すごいヤツに見えるんだけどねぇ(笑)

今日のアホ
ボンド、ナイトの称号の辞退。


kl