
「本当に、けものより好きだと思う人間には会ったことがないわ。婆やは別よ」
ドクターノオ
始めに
ジェフリー・ブースロイド初登場です。前作でサイレンサーが引っかかってモタモタしてるうちに、毒を塗った仕込みナイフで刺されるという不覚をとったボンドは、この火気係のブースロイドによって十五年愛用したベレッタを取り上げられてしまうわけです。このブースロイド氏は実在する人物で、銃の知識に疎いフレミングに、ボンドにPPKをもたせようとアドバイスした御仁。
このブースロイドと映画に出てくるQという人物は別人だったよう。あくまでもブースロイドは小火器の権威(学者で)で映画のQは兵器開発の職人。映画シリーズ影響でブースロイド=Qという暗黙の了解が出来てきたのは御覧のとおりで、同一人物だということが明記されたのは、「消されたライセンス」のノベライズから。
ストーリィ
英国情報部のカリブ支局主任ストラングウェイズとその秘書メアリ・トルゥーブラッドが行方不明になった。駆け落ちではないかと情報部内では判断されていた。日本人が自殺につかうというフグの卵巣からの毒を刺され、死線をさまよっていたボンドの、復帰前の軽い運動に二人の安否調査はちょうどいいと任務だとMは思ったのだ。が、実際、カリブ支局は何者かによって襲撃をうけ45分で支局は壊滅していた。ストラングウェイズは、オーデュポン協会の圧力に植民省と外務省が屈し、Mを経由してクラブ礁島(キイ)の調査を行っていたところだ゜った。その調査とは・・・・
絶滅したとされるベニヘラサギというピンクのコウノトリみたいな種族が、英国領ジャマイカにあるクラブ・キイに棲息していた。その島は元来、鳥糞石(グアム)の採掘の島だったが50年間打ち捨てられていた。オーデュポン協会は政府と交渉し、ヘラサギの生息地を禁猟区にしたため、ヘラサギは繁殖し、上質のグアムを生むようになった。
1943年ジュリアス・ノオ博士が、禁猟区は侵害しないという条件でクラブ・キイを買い取った。やがてグアムでひと財産を築き、島を自分の王国として完全封鎖した。
ある日、鳥を監視に私有地の島に向かった調査員は全て事故で死んだ。ストラングウェイスの死はそれと関係があるのではないかというものだった。
現在ではクラブ・キイにはヘラサギは殆どいず、あの島に行ったものは二度と帰ってこないという魔の島と呼ばれている。
カリブについたボンドは、かつてともにミスター・ビックと戦ったクォーレルと共に調査を開始する。・・・しかし、すでにボンドはノオ博士の配下の中国系黒人たちの監視下にあり、次々と刺客が放たれていった。ボンドは確信をもった、ストラングウェイズはノオ博士の何かを調べだしたために殺されたのだと。
グアムってなあに?
鳥は覆面カツオドリやグアノドリで、カタクチイワシを食べることによって出る糞が蓄積して天然の肥料になるものである。硝酸塩や燐酸塩が含まれている。一時ドイツの化学肥料にその地位を奪われかけていたが、化学肥料が土地を減らすため。地位が再び向上している。
ピンクのヒロイン
ハニーチャイル・ライダー
クラブ・キイに潜入したボンドが偶然、島に密漁に来た彼女と出会うことになる。その第一印象はボッテイチェリルの描くビーナス。なかなかきれいな生真面目な顔で、自分の身は自分で守るという表情をもっていた。しかし一度だけ守れなかったことがあり、鼻がつぶれて曲がっている。
この髪にちゃんと櫛を入れたらどうだろう?黄金色の美しい体にこざっぱりした服を着せたらどうだろう。なぜつぶれた鼻を直さないのだろう。簡単な手術なのに。そうすればジャマイカ一の美人に慣れるのに・・・・この醜いアヒルの子にボンド淫行オヤジのスケベ心まるだし。
ハニーは五歳の時に家を焼かれ両親を殺されている。それから廃墟の地下で黒人の婆やと婆やかなくなる15歳まで二人っきりで暮らしていた。キビの収穫時期になると住処を終われるようになる虫や動物が廃墟に集まってくる。地下室のひとつをそのマングースや蛇やさそりたちの巣に与えてやっているうちに、動物たちもなつき、友達になってしまう。つぶれた鼻は農園の監督をしていたマンダーという男に暴行を受けたときのものので友達の黒後家蜘蛛で復讐を果たす。百科事典で美しい貝は高価で売れる事を知りクラブ・キイで密漁を行い、鼻の手術代を稼いでいる。彼女の夢はコール・ガールになってお金をためたら島に帰ってやさしい旦那を見つけて暮らすというものだった。彼女の頭の中にあるコール・ガールは派手なアパートに住んでいて、きれいな服を着て、みんながちやほや寄ってきてお金をくれる素敵な職業。
手術の世話でしてやれる、友人の紹介で仕事をあてがって、家の心配もしてやれる。服を買ってやり髪もきれいに結わせて。たのしみだ。彼女に対する肉体的欲情は・・・まんま援交オヤジやんけ!
黒い悪玉
ジュリアス・ノオ博士
ドイツ系中国人のノオ博士の容姿は以下の通り、頭は丸く禿げ上がり、あごはするルどくとがっている。シワ一つない象牙のような肌。まつげはなく、黒い両目はコンタクト。両腕もなく鋭い錐のような棒がはめ込まれている。
偉人というものは皆、偏執狂で、その根拠は全治全能をただひとつの目的の為に盲目的に集中できるからで、自分はその1人だといっている。彼は絶対主権というものに偏執し、買い取った島を完全なる自分の王国に作り上げた。私生児だった彼は上海の「党/タン」という犯罪組織に入る。その能力を惜しまれニューヨークの党の会計係に、党同士の抗争混乱に乗じて、資金を持ち持ちにげするが捕まり拷問にかけられ、両手切断、殺される。しかし彼は心臓が右側にあるため助かる。金を切手に変えて、戦争前のインフレを凌ぎ、人間の肉体精神の機能を大学で学習した後、王国となる島を買い取る。対外的な情報としては、グアム工場と、サナトリウムである。ノオ博士は王国の主権を確固たる者にするため、ロシアを顧客にし、次の段階に入っていた。指向性電波/ビームの技術を取りいれ、地上百キロのへヴィサイド層の深針波を送り米国ミサイルの指向性電波を探り、逆ビームを送信することによって、ミサイルを誤った方向に誘導することができる。タークス島の米軍ミサイル基地の事故の原因はそこあったのだ。さらにノオ博士が持つもうひとつの関心ごとは、人間はどのくらい苦痛に耐えられるかということだった。
本日の拷問
人間はどこまで取られて生きていられるか
Mお気に入りのスタインクローン博士の本によると胆嚢脾臓扁桃腺虫垂腎臓肺血液2クォート肝臓五分の二胃腸の4フィート脳の半分手足くらいは無くても人間は生きられねということだそうだ。
ノオ博士の研究、二例
1.百何匹群れをなして集団移動する蟹/クラブは進路方向にあるものを食い尽くしていく習性を持っている。そのクラブの通り道に女性を縛り付け、どのくらい絶えられるかというもの。黒人女性は3時間もった。
2.ノオ博士の、死ぬまでまっしぐら障害レース。
通気候を使った様々な仕掛けで施されている要所要所に門番の動物がいて、それをクリアーしなければならない。睡眠薬をのませじっくり休養をとらせ、うまいものを食わせて体力をついたらレース・スタート!電流の通った換気工の金網をあけて中に入ります。狭いパイプを腹ばいになって進むとやがで服が焦げつくくらいにパイプは加熱されてしまいます。
やけどしちゃあうぞ!いそげ!しかし偽の出口や、銅線の金網、うごめく20匹のタランテュラを抜けると、クラーケンの待つ入り江にマッさかさま。
動物軍団大行進
進熱帯ムカデ
・・・淡茶色で、ごつい頭の左右に毒の牙がある。通称ぴかぴかの死神。ボンドに靴で叩き潰される。
ドラゴン・・・口から火を吐く。ベニヘラサギを追い出すためにノオ博士に飼われている
その正体は擬装戦車
ドーベルマン・ピンシャー・・・島に隠れるボンドたちを狩るために頑張る猟犬
エビ・・・水の中で、ボンドたちの足をとにかく、気が狂うほどくすぐったく突っつく、いたずら者
雌の黒後家蜘蛛/ブラック・ウィドウ・・・おなかをすかして気が立ってる勢いで、毒の牙でマンダーという男を噛み、ハニーの復讐を果たす。
蟹/クラブ・・・大きいコーヒーの受け皿くらいの大きさ百何匹群れをなしてやってくる。赤と黒のその波は片っ端に食いまくる。起用のご馳走は縛られたハニーちゃん。しかし蟹はハニーを岩だと勘違いして素通り
真っ赤な眼をしたタランテュラ20匹・・・・返り討ち
伝説の怪物クラーケン・・・漁師の肺を絞めつぶした大イカ。餌のボンドを取り逃がす
グアノ鳥・・・その糞は高価な肥料になる。一定の位置に皆糞を落とすため、そこは一種の鉱脈と化し、何トンものグアムをすくいあけで船に積み込む。こんちくしょう!ボンドは黄色い滝のように噴出すグアムのベルトコンベアを捜査しノオ博士を鳥の糞で生き埋めにする。
ハニー・・・助けに着たボンド敵だとかんちがいしてがぶりと噛み付く
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