「シアンのピストルですか、M。私は明確に覚えている失敗例がひとつだけあります」

死こそ永遠に

感電死、シアン化物ピストル、溺死、および鉄環絞首刑などによる死。ファンはがっかりさせられることはありません。(BOOKLISTより)

はじめに
今回登場する有名人さんは、ジョン・メージャ、ヘルムート・コール、フランソワ・ミッテランと当時のECの首脳の面々。ベルリンの壁が崩壊し、事実上東西の冷戦が終結したといっても過言でなく、スパイ小説は終わったと言われているが、世界では元スパイの暗躍や様々なテロ集団が台頭してきているのも事実で、このジャンルはまだまだ廃れることはないということだ。
クライマックスの舞台になるチャネル・トンネルというのは、ドーヴァ・海峡のイギリスとフランスを結ぶ海底トンネルで、「ハリマオの財宝を追え!!」の爆破されたトンネルがココとなる。もし知ってての脚本なら、あなどりがたし! と、いったところだろうか・・・

ストーリィ
ドイツ統一が起こる二年前。「密計ネットワーク」が解散した。このネットワークは東ドイツの反ソ連の活動家、パクラシィ・シモンと彼女の仲間たちによるグループでイギリス諜報部員と緊密な関係にあった。
彼女たちの一部は、統一後も西側諸国のために働き、ヨーロッパ中を探索している。
しかし、その任務についていた二人の諜報部員が何者かに殺された。
英国情報部のボンドと、CIAのエリザベス・ザラセント・ジョン通称イージーは共にドイツに送られる。
任務は「密計ネットーワーク」の生き残りのメンバーと接触し、身柄を保護することだった。
しかし、一人目の人物は程なく殺され、敵に捕らえられたボンドたちを保護したパクラシィも殺されてしまう。

黒い悪玉
シリーズ恒例の内通者、裏切り者は小物でなく、ラスボスである。
ウォルフガング・ウェイセン。通称「有害な小男」。
彼は元東ドイツのスパイから密計グループ参加したもので、それは反ソ連でも、緊張緩和を進める現在のソ連の体制に反発するために参加していたもので、敵の敵は味方の思想で活動していた。
現在ベニスに拠点を構える彼は、堕落したソ連に見切りをつけ、ここにおいて、大胆な計画を打って出る。
ヨーロッパ全土をスターリンの名の下に共産主義化することだった。
ウィンセンの狙いは、ECの首脳をチャネル・トンネルを通る列車もろとも爆破することだった。
彼の計画通り、列車はのっとられる。
しかし、ボンドとフランス軍の精鋭部隊が突入し、ウィンセンは高圧電流に感電死という結末となる。
首脳たちの命は守るったものの、今回の任務である「密計グループ」のすべての人間を帰還させることは、できなかった。


kl