「私を裏切ったのと、同じ人間ですよ」

Die Another Day:ダイ・アナザー・デイ
1999年(99/11/19全米、00/32/ 8日本公開) 128分 イギリス
製作:マイケル・G・ウィルソン、バーバラ・ブロッコリ
監督:リー・タマホリ
脚本:ニール・パーヴィス、ロバート・ウェイド
プロダクション・デザイナー:ピーター・ラモント
アクション・ユニット監督/第2班監督:ヴィク・アームストロング
出演:ジンクス:ハル・ベリー
    グスタフ・グレーヴス:トビー・スティーヴンス
    ミランダ・フロスト:ロザムンド・パイク
    ザオ:リック・ユーン
    ファルコ:マイケル・マドセン
    ムーン大佐:ウィル・ユン・リー
    ムーン将軍:ケネス・ツァン

はじめに
クラッシュの「ロンドンコーリング」で登場のトビー・スティーヴンスがかっこいいんです! 歌詞も鳥肌立つぐらいどんぴしゃで。「ロンドンから宣戦を布告するっ」って。
今回の見所は、ウィル・ユン・リー、ケネス・ツァン。登場こそはほんとスポットなんだけれど、トビー・スティーヴンスを除くすべての主役級を喰ってます。北朝鮮騒動に一番割りを喰った感じですね。もっと評価されていいはずです。
話題や宣伝性が高かった割には、ほとんど出番のなかった、いいとこなしのハル・ベリーですが、結局本来ならボンド一人で十分足りえるドラマを無理やり二つにわけただけで、まあこんなものだろうな、と。オスカーという予想外の事態が追い風になったと解釈すべきでしょうか。もし、オスカー後も撮影が続いていたとしたら、ハルのシーンが増え、ブロスナンのシーンが減る。そんな感じがしますね。
CGが時代の流れにしても、ちょっと鼻につくほど使いすぎで という意見もあるようだけど、が実際はあんまり使ってなかったりなんかして。二回目のサーフィンのインパクトが強すぎるからかと、ただ使い方が生ぬるいというか、使わなきゃいけないところで使わない・・・というか、たとえばラスト・バトルでのジンクスのマトリックス跳びといいい・・・そこら辺の中途半端なところが、ほんと、なんちゃってハリウッドだな。
なんていうか、CG、CGって目くじら立てるのばっかみたいだけど、たとえどんなに映像をコンピューターが加工しても、誰かが吊るされ、誰かが落っこち、誰かが危ない目にあい、壊されるべき模型が作られ、それをぶっ壊して、それが撮影されてはじめてCGとして製作されるのだから。ようはどうデコレートするかが腕が問われるわけで、まだまだこれから。でも、上映時間、長いなあ・・・・

原作と映画の関係
冒頭の防弾ガラス越しのMとの対面は「黄金の銃を持つ男」より、原作ではソ連で拘束され洗脳されたボンドがMを暗殺しようとする。
12ヶ月前に突如として現れ、ダイアモンド鉱脈を当て、事前事業により爵位を得、太陽エネルギー計画を披露するグフタス・クレーヴスは、「ムーンレイカー」のコロンビゥム鉱脈を当て、女王陛下に月ロケットを献上し、爵位を得るヒューゴ・ドラックス。ちなみに共産圏の人間が顔を変えて、イギリス人に成りすますところ、ソーラー・衛星がソーラー・レーザーに月ロケットが核弾頭にとして建造された過程も似ている。
キューバでラウル部屋で密談中、ボンドが手にした本は「西インド諸島の鳥」という本で作者は“ジェイムズ・ボンド”で、フレミングはボンドの名前はこの、鳥類学者ジェイムズ・ボンドから採ったといっている。映画ではボンドがその本をみて、鳥類学者を名乗りジンクスに近づいた。

ストーリィ
ジェイムズ・ボンドはムーン大佐を暗殺するために、朝鮮半島の軍事境界線を越えた北側に潜入、戦闘の末、大佐を滝壷に突き落とし遂行するが、ムーンの部下、ザオによって囚われて拷問の日々を送ることになる。
14ヶ月後。非武装地帯の一本の橋を挟み、捕虜の交換がなされた。
ボンドと、もう一方は、中国の諜報部員を殺した罪で捕らえられた、ボンドは因縁浅からぬ、ザオ。
香港に送られたボンドを待っていたのは、治療名目の幽閉という事態だった。面会にきたMは、ザオをはじめとする極東情勢の悪化は、ボンドが拷問により機密をもらした責任だと断言する。
諜報部員の資格を剥奪されたボンドは汚名をはらさんと、ザオを追うべく、厳しい警備を潜り抜けてキューバに飛ぶ。
ザオがロス・オルガノス島の病院にいると知り、島への潜入方法を考えめぐらせているボンドは、ジンクスと知り合い、一夜を共にする。
翌日、病院に潜入したボンドは、DNA治療中のザオを発見し格闘となる。人種さえも変えてしまう治療の途中にある
ザオは、見るも恐ろしい姿に変わりはてていた。
そしてジンクスはNSAのエージェントであり、ボンドは彼女と共にザオを追うが、ヘリでにげられてしまい、ジンクスも
海に消える。だが、ボンドはザオの残した手かがリを得る。レーザーでGGと刻印されたダイヤ。それは、英国のダイヤモンド王、グスタフ・グレーヴスの商品だった。
そのグスタフ・クレーブスは、バッキンガム宮殿前で広報係のミランダ・フロストを従え、派手なパフォーマンスで人工衛星イカルスを使う環境計画を発表する。フェンシング・クラブで彼と手合わせしたボンドは、グレーヴスこそ黒幕と確信を得る。その情報をもってMに会い、M16に復帰したボンドは、Qからアストン・マーチンをはじめとする秘密兵器を支給され、グレーヴスから招待されたアイスランドの氷の宮殿へと向かう。
グレーヴスが太陽光を利用し、イカルス衛星を第二の太陽とする壮大な計画を発表しようとしている氷の宮殿。ボンドは招待客として潜入していたジンクスと再会。フロストはクレーヴスの身辺調査として潜入していたMI6のエージェントで、さらにボンドに対して憎しみを募らせてるザオが氷の宮殿に集結した。。ボンドはクレーヴスの正体とその陰謀をつかむ。クレーヴスはDNA治療で姿を変えていたムーン大佐だった。そしてイカルスの太陽光をソーラー・レーザーとして、38度線に照射。地雷地帯を消滅させ、すでにクーデターによって手中に収めた軍により一気に南進、さらにイカルスを用いて日本等への攻撃を開始する。
ザオを倒し、囚われのジンクスを救出したボンドは、再び北朝鮮へ。ボンドはクレーヴスと、ジンクスは、西側の機密をムーン大佐に流していた裏切り者のフロストと雌雄を決する。

シェイクしたムービー
ガンバレルのシーンで、ああ、この監督はほんと、めちゃめちゃボンド映画が好きなんだなあ、とおもったよ。
もう、好きで好きでたまらなくて、フィルムの全編、曲にあわせて流れるエンドロールまでわざわざ演出して、たのしくてたのしくてしょうがないという、もうスクリーンの向こうでにやけている監督の笑顔が見えるくらいですね。

ただ悲しいかな、日本ではオマージュという言葉は、すでに、ネタ切れのための流用、想像力の欠如をおぎなうパクリをごまかすための、言い逃れるための言い訳、という意味合いで使われている。
それはそれで、仕方のないことかも。

ドクターノオ:ボンドガールのビキニ&腰のナイフ
ロシアより愛をこめて:マジックミラー越しの盗撮
ゴールド:レーザーによる処刑、輸送機内での戦い
サンダーボール作戦:型酸素ボンベ
OO7は二度死ぬ:地下鉄の中のアジト
女王陛下のOO7:雪上車の搭乗員のユニフォーム
ダイヤモンドは永遠に:衛星からのレーザー攻撃 別人になりすます
私を愛したスパイ:ユニオンジャックのパラシュート
ムーンレイカー:マティーニを出すスチュワーデス。しかもムーアの娘。ボンドが読んでた雑誌の表紙にコネリー
オクトパシー:良い敵国軍人と悪い敵国軍人
美しき獲物たち:サーフィン
リビング・デイライツ:輸送機からの脱出
消されたライセンス:ライセンスの執行。アストンマーチンの片足走行。時間ジャストに空から現れるグスタフ
ムーンとザオの同性愛っぽい描写:サンチェスとダリオ。
トゥモロー・ネバーダイ:螺旋状通路を登るカーチェイス
ネバーセイ・ネバーアゲイン:療養所で葡萄をひとつまみ、レーザートーチつき腕時計

Qラボにあった道具
「オクトパシー」のアクロスター、クロコダイル潜水艇
「サンダーボール作戦」のジェットパック、
「ロシアより愛をこめて」のローザ・クレップの仕込み靴。アタッシュ・ケース。


kl