{「おまえも幸運な女だよ、愛の勤労奉仕だよねぇ」

From Russia With Love:ロシアより愛をこめて
1963年 115分 イギリス
監督:テレンス・ヤング
脚本:リチャード・メイバウム、ジョアンナ・ハーウッド
撮影:テッド・ムーア
音楽:ジョン・バリー
出演:ショーン・コネリー、ダニエラ・ビアンキ、ロバート・ショー、ロッテ・リーニャ、他

 
はじめに
日本初公開時は「007危機一発」というタイトルで公開された。「発」がポイントなのです。
 ボンド・ガールはダニエラ・ビアンキ。'60の準ミス・ユニバースにも選ばれた美人で、国際モデルとして活躍していたわけです。
 オリエント急行の車内での格闘シーンがあまりにも有名な本作。ショーン・コネリーの拳があきらかに相手に当たっていなかったのを見たスタッフはコネリーの映像を拡大して合成したそうです。お見事! レッド・グラントを演じたロバート・ショーは凄みがありました。
なんといってもケリム・ベイの存在は大きいでしょう。近年のシリーズにはない、したたかで、切れ者で頼りになれる男。唯一似たような人物を挙げるとしたらタイガー田中くらいか。このタイプの人物、復活してほしいものですね。

原作と映画の関係
ヘリコプターとボートの追撃シーンはオリジナル。
グラントの持つ本に仕込んだ銃はモーゼルに。
ボンド暗殺計画を立案したのは、スメルシュからスペクタ―に変更。
よって、ボンドが奪った暗号解読器を回収して、ソ連に売るという作戦とノオ博士の仇討ちという付加価値がついた。
ベネチアのホテルでボンドを殺そうとしてホテルのメイドに化けていたのはローザ・クレップ。映画ではタチアナに撃たれますが、原作では靴に仕込んだナイフに塗った河豚の毒にボンドはやられてしまいます。

ストーリィ
スペクターは、ブロフェルドのもと大々的な作戦を計画。チェスの名人bTクロンスティーンの計画で、元スメルシュのbRクレブが遂行。目的はソ連の暗号解読器レクターの入手し、同時に、宿敵ジェームズ・ボンドを倒すと言うものだ。
クレブを味方と信じた、トルコのソ連領事館員タチアナが 英国情報部員ケリムに接触。 ボンドに一目ボレしたので、レクターを手土産に亡命したいと言う。
Mは、ソ連の罠と承知でボンドを派遣。
ソ連の尾行が着くが、スペクターの殺し屋グラントが殺害。怒ったソ連のクリレンコは、ケリムを何度も襲撃。 お返しにケリムは、クリレンコの隠れ家を襲撃。クリレンコを射殺する。
 ホテルに戻ったボンドを、タチアナが出迎える。 2人はそのままベッドインするが、その様子はカメラに撮影されていた。

 作戦遂行のため、ケリムはソ連領事館を爆破。その間にボンドは領事館に侵入し、 レクターを奪いタチアナと共に脱出。オリエント急行に飛び乗る。 しかし部員ナッシュになりすましたグラントが、ボンドに接触。 彼はタチアナを薬で眠らせ、ボンドの銃を奪う。
 彼は筋書きのため、邪魔者を処分し、ボンドを保護してきたという。そして、ボンドらを殺し、タチアナの脅迫状とフィルムを残し、心中に見せるためにだ。だが、グラントはナッシュのケースを不用意に開け、催涙ガスが吹き出す。ボンドとグラントは格闘。
グラントはワイヤーで首を絞るが、ボンドはナイフを取り出し、グラントを刺し殺す。

 
ボンドらはボートに乗ってベニスへ向かう。
 ブロフェルドは計画失敗の責任を追及し、クロンスティーンを処刑。
スペクターのモゼニーの隊は、ボートでボンドらを襲撃。 ボンドは穴の開いたドラム缶を落とし、照明弾で点火。モゼニーらは火に包まれる。
ボンドらはベニスのホテルに落ちつくが、そこへ掃除婦に扮したクレブが現れる。
だが、タチアナはボンドを愛しており、クレブの銃を払いも落ちた銃でクレブを撃つ。

シェイクしたムービィ

これは典型的なサスペンス。古きよき時代の古典的スリラー。平たく言えば、可もなく不可もなくの安全パイ。いわゆるボンドらしい派手な悪役・秘密兵器・陰謀に集まる下等なミーハーたちとは、自分らは違う、エリートなんだ、インテリなんだを誇示する信者ための万能アイテム。そーゆー特権意識?でっきれぇ! 今でいう、ミーハー映画ファンじゃなくてボンド知り尽くしているんだと誇示するために利用される「女王陛下のoo7」とおんなじ。こころの中ではゆーえつかん。あーやだやた。作品好きだよ。ネコはおいしそうにご飯食べてるし。根は同じ性質なんだけど、恋愛と家族に対する考え方の違いからボンドの合わせ鏡として登場するナイス・ガイ、ケリム。淑女であり娼婦であり天使であり小悪魔でもある。ビアンキはシリーズで最高の女性だし・・・・この回のマニペニーもキュートだし・・・。コネリーも人間としてのボンドイメージを捉えているしね。


kl