「映画の中では、いつもやってることだ」
ブラスト・フロム・ザ・パスト
はじめに
「映画のなかで〜」この科白は本編のカーチェイス・シーンでの楽屋落ちのセリフ。
フロイライン・イルマ・ブント・・・その復活はまさに、過去からの突風。
しかし、ピアースの「ジェイムズ・ボンド伝」における、オーストラリアの羊産業を巨大ネズミの大群で襲い、オーストラリア政府を恐喝しようとした、ブントはいったい何者かと。
まあ、ピアーソンのインタビューを受けたボンド氏は、この小説のボンドを嫌っている御仁なわけだから、世界が違うんでノー・プロブレムかな。
「大統領の密使」のボンド少年が違和感なくリンクできてしまうのは、すごいぞっ、ノビー小林!!(笑)
ストーリィ
チェルシ―のアパートのジェイムズ・ボンドの元に一通の手紙が届く。
それはボンドの息子ジェイムズ鈴木からのもので、「早くニューヨークに助けにきて欲しい」というものだった。
ボンドは、キッシー鈴木が癌で他界し、息子がニューヨークの日系銀行勤務していることは知ってはいたが、これまで二人の間に交流はない。
ボンドはニューヨークに飛んだが、彼のアパートの前でカバンを持った醜い女とすれ違う。
ボンドが部屋で発見したものは、毒殺された息子の死体だった。すでにボンドの息子は毒殺されていたのだ。
そして、この手紙が書かれた時には既に息子が死んでいたことが判明する。
何者かがボンドを誘き出すために、この手紙を送りつけたのだ。
ピンクのヒロイン
「バラと拳銃」のメアリ・アン・ラッセルに近いかも。ポジション的に。
シェリル・ヘブンはニューヨーク支局の女性で、ボンドとともに犯人を追跡する。
ジェイムズ鈴木の遺体の傍らにあった貴重品保管箱の鍵を見つけ、ボンドの息子が働いていた銀行に行き、その箱を明けるが、その箱は爆発し銀行のメンテナンス係の男は爆死してしまう。
銀行を飛び出したボンドは、遠巻きに見つめるバックを持った女の姿を発見する。
その女は、息子のアパートの外でも見た事を思い出したボンドは、彼女を追う。
カーチェイスを制覇してボンドはシェリルと供にバックの女の隠れ家である倉庫にたどり着く。
ボンドは単身乗り込んだものの、捕まり拷問に掛けられるが、間一髪、応援を連れて戻ってきたシェリルに助けられる。
当然、ご褒美は甘い夜のひととき。
黒い悪玉
倉庫に潜入したボンドを殴打して気絶させ、捕らえた女は、おぞましき顔に変わり果てたイルマ・ブントだった。
島の爆発とともに死んだと思われていたが、生き残り、船で脱出し、京都のジャーマン・クリニックで治療を受け、過酷なリハビリを経て、復讐のために蘇ったのだ。
キッシー鈴木をたどっていくうちにボンドの息子の存在をしり、この機会を待っていたという。
ブントはボンドの息子を殺した河豚の毒を使った、拷問をボンドに施すが、拷問から逃れたボンドに射殺されてしまう。
げに恐ろしきは・・・・
「oo7は二度死ぬ」でのブントの最後の描写は、殴打による気絶の状態でのいびきだった。これがが発生するのは、死に近い状態なのだか、フレミング自身その描写でブントの死を案じさせていたのだが・・・そこからの生還となると・・・本当に、凄まじい執念・・・。
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