バルバロッサから来た男
文学上最も有名なスパイとしてのジェイムズ・ボンドの良き伝統を守った作品である。(TIMEより)
はじめに
サッチャー、レーガン、ブッシュ、ゴルバチョフとつづく有名人シリーズ突入の今作のゲストは、サダム・フセイン。
湾岸戦争が近い1991年とタイムリーというか、アフガン、コロンビア麻薬とちょっと先を予言する(笑)ダルトン・ボンドのシリーズを髣髴させます。
この湾岸戦争ではサリンなど化学兵器を使われていたそうで、国際赤十字連盟から教護派遣の依頼を受けていた日本の民間救護団体はパムなどの解毒薬品を準備していたが、クゥエート行きは中止、大量の薬品が倉庫に眠ることになった。皮肉なことですが、地下鉄サリン事件で被害をあそこまでに食い止めることができたのは、そのときの使われなかった薬品の在庫が大量にあったからといいます。
いよいよ、小説のシリーズでも「よいソ連人」と「わるいソ連人」の登場になります。デタントって素敵。
ストーリィ
テロ組織“正義の目盛”がニュー・ジャージーで、ある初老の男を誘拐した。
その男は、ソビエト・ユダヤ教徒に対して残虐な行為を指揮したナチスの戦犯で、“正義の目盛”がソビエト政府に突きつけた要求は、
誘拐したナチ戦犯を処刑することに対する同意の声明文と、クレムリンの高官と同等の地位である。
それが最後通牒であるということを証明するかのごとく、“正義の目盛”のメンバーである二人のイギリス人がモスクワに潜入していた。
KGBのボリス・ステファコブは事態を重く見て、西側の諜報機関に協力を求めた。
ボンドとモサドのペテ・ナコトウィッツは、モスクワに赴く。
ピンクのヒロイン
ステファコブの部下であるニーナ・ビビコバはボンド達と行動を供にする。
そしてフィンランドとソビエトの国境沿いに“正義の目盛”のメンバーが集結している事を突き止め、彼らのいるストレンジ・ホテルに急行した。
そこでボンド達は事件の真相を知ることになる。
何者かが偽者の“正義の目盛”を装い、ナチ戦犯人を誘拐したという狂言で、KGBを果ては西側情報部を攪乱していたのだ。
当然、ボンドたちチームの中にも敵と内通している裏切り者がいた。
さらに今回の犯行を行った偽の“正義の目盛”を組織した者の正体が判明する。
ヤブゲニー・ヨスコビッチ将軍。ソビエト強硬派の将校だった。そして二ーナはヨスコビッチの愛人で常にボンドたちの動向を監視していたのだ。
黒い悪玉
ヨスコビッチ将軍の目的は、ソビエト連邦を強行共産主義に戻すことだった。
ボンドたちを“正義の目盛”と退治している間、彼はイラクにいた。
連合軍が着々と包囲網を強化しているそのとき、戦闘中のサダム・フセインに乗じて、中東における一連の核兵器を爆発させたのだ。
将軍の真のプランはココから始まった。
中東での惨事の混乱を利用して、彼はイギリス航空のジャンボジェットに核爆弾を仕掛けて、ワシントンDC上空で核爆発させるというものだった。
ロスト・ホライズン
ステファコブとボンドたちが襲撃をかけた、広大な北極圏にあるヨスコビッチ将軍の拠点を、自ら「失われた地平線」と呼んでいる。
将軍はそこからイラクに核爆弾を売却していた。
真の計画のために、売りつけたのだ。
将軍のワシントン襲撃を阻止するためには隠密かつ迅速な行動が必要となる。
Mは自らストックホルムに赴き、ステファコブ、ボンドのロスト・ホライズンからの救出作戦を展開する。
そしてステファコブの提案で、ロスト・ホライズンでの銃撃戦でボンドが死んだというデマを流して、敵の隙をつくり、計画を準備している将軍に不意打ちをかけるというものだった。
ステアァコブの作戦は見事的中し、ヨスコビッチ将軍は、ワシントンを狙う核爆弾と一緒に爆死する。
しかし、ボンドたちの代償も大きく、作戦展開中、ステファコブが命を落としてしまう。
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