「そん畜生はもう死んでるからな」
カジノ・ロワイヤル
はじめに
後のシリーズのすべての要素が含まれてるのは処女作だから。シリーズ後半展開から、執筆時にはフレミングも後にこれがシリーズになるとは思ってなかったのではと思うほど、善悪論を絡めた恋愛小説モードに突入。もしシリーズが意識されてたとしたら、改めて暗殺の指令を受けて舞い戻ってきたオボーリンとボンドの戦いがクライマックスになり、ヴェスパーの不安もそっちの方に解釈させるという、小説のテクニックにも使えたと思う。でも「女王陛下のOO7」以上に再評価されてもいいような気もするんだけどなぁ。
ストーリィ
「ル・シッフル打倒計画」
ソ連の工作員であり、フランスの共産党「アルザス労働者連合組合」大物ル・シッフルは使い込んでしまった資金をカジノで儲けて補填しようとしている。それを阻止するために英仏米による共同作戦が展開された。それはカジノでル・シッフルと対決し、彼の資金を巻き上げ、彼が管理する共産系労組を破産させるというものだった。
英国情報部は一流のギャンブラーとしてジェイムズ・ボンドを送り込こみ、アメリカはNATO連合情報局のフェリックス・レイター、フランスはかつてボンドとコンビを組んだことがあるルネ・マチスを派遣した。
黒い悪役
ル・シッフル・・・本名不明。ダウハ難民キャンプの出で無国籍旅券304−596を与えられたことから、自分の姓をル・シッフル/番号とした。喘息持ちらしく耐えず吸入器を使用している。カジノでのボンドとの対決に負け、小切手と化した金を取り戻そうと、ヴェスパーを誘拐し追ってきたボンドを捕らえ拷問にかけるも、ときすでに遅く、ソ連はル・シッフルを反逆者とみなし、処刑される。
オボーリン・・・ル・シッフル処刑に派遣されたスメルシュの暗殺者。ル・シッフル殺害後、拷問の途中だったボンドの左手の甲に、イギリスのスパイだという目印にスメルシュの「シュ」のロシア文字の烙印を彫る。
ピンクのヒロイン
ヴェスパー・リンド
ボンドの助手としてS課より派遣される。ヴェスパーとは黄昏という意味。いつも説明してるので飽き飽きしてるらしい。嵐の宵の記念につけられたという。なんちゅう親だ・・・。しかしボンドはまず、この名前に惚れたらしい。
ボンドの第一印象「ちょっと皮肉な冷ややかさを匂わせて大きく開かせている目を強引につぶらせてやりたい」
ル・シッフルの事件以降、ボンドは善悪の葛藤に悩み辞職を考える。そして恐怖の一夜の共有からボンドはヴェスパーに想いを募らせていき結婚を申し込むことを決意する。ヴェスパーもボンドを愛してしまっていた。しかし彼女はポーランドの恋人を助けるためにソ連の二重スパイになっていた。彼女はスメルシュから、これからのボンドの身を守るかのごとく、自殺する。
ボンドの中に新たな決意が湧いた。電話を手にする。
「3030は赤の手先だった。だったと言ったのさ。そん畜生はもう死んでるからな」
本日のお献立
有名なドライ・マティーニ
ボンド・オリジナルで祝い事の時だけに飲むことにしている、微かに泡立ってる金色の酒。いい名前を思いついたらパテントを取ろうと思っている。レイターは「モトロフ・カクテル」と提案してるが、レイターさん、そりゃ火炎ビンでしょおが!! すみれ色の時刻にぴったりだということでヴェスパーの名前つけることになった。
作り方
ゴードンのジン3、穀物のウォッカ1、キナ・リネのベルモット1/2。氷みたいに強くなるまでよくシェイクして、深いシャンペン・グラスにいれ大きく薄くきったレモンの皮を添える。
シャンペン・グラスを用意するのは、夕食の前は一杯以上は飲まないので、一杯入る容器にしてるんだそーだ。
M曰く「ひでぇもの、飲むんだな」
本日の拷問
すっぱだかしして、椅子に針金できつーく縛ります。まず関節を逆に思いっきりひっぱります。次に絨毯叩きで、叩きまくり。最後に彫刻刀でもってナニを・・・去勢しちゃいます。
本日のお言葉
「拷問というのは恐ろしいものだ。だがする方にとっては簡単なもんなんだ。特に男の場合は気取る必要がないからな」
会社の理論ですな・・・
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